空き家問題なのに、主役は「家」じゃない。人の挑戦が次の再生を生む「連鎖型空き家再生」
自薦始まりは、2016年。創業者ゼロだった上山市中心市街地での、小さな挑戦でした。 小さなマルシェから始め、一戸ずつ空き家再生を積み重ねるうちに、挑戦した人の姿を見て「自分もやってみたい」という人が現れました。そして再生が次の再生を呼び、2023年には5件、2024年には4件へと動きが加速しました。 しかし、本当の成果は「何戸を再生したか」だけではありません。 一人の挑戦が、次の一人の背中を押す。 一戸の空き家再生が、次の一戸を動かす。 行政だけでも民間だけでもなく、多様な人が関わりながら、地域自身が未来をつくり始める。 「空き家の一戸の再生から、まちの再生へ。」 上山市で生まれたこの考え方は、いま他地域での実践・助言にもつながり始めています。 私たちが目指すのは、完成した成功モデルをそのまま配ることではありません。それぞれの地域の人たちが、自ら次の挑戦を生み出せる状態をつくることです。 空き家問題なのに、主役は「家」じゃない。 主役は、地域の未来をつくろうと一歩踏み出す「人」です。 その一歩が次の一歩を生む社会を、全国へ広げていきます。
どんな課題にアプローチしましたか?
地方は人口減少で空き家が増え続ける一方、「壊す・売る・貸す・一戸ずつ活用する」だけでは、地域そのものの衰退を止めることはできません。 私たちが実践の中で見つけたのは、空き家問題の本質が「建物」だけにあるのではなく、その場所で挑戦する「人」と、その挑戦が続いていく「環境」が不足しているということでした。 そこで、空き家を単なる「負の遺産」として処理するのではなく、新しい商い、交流、若者の挑戦を生み出す「地域の資産」へ転換することに挑戦しました。
どのような新たな価値を創造しましたか?
私たちが生み出した価値は、一戸の建物をきれいにすることではありません。 一戸の空き家再生をきっかけに人が集まり、新しい挑戦が生まれ、その姿を見た別の人が「自分もやってみたい」と動き出し、次の空き家再生へつながっていく。この循環を、私たちは「連鎖型空き家再生」と呼んでいます。 空き家を「コスト」から「挑戦を生み出す地域資産」へ。 一戸の再生を「ゴール」から「まちが動き出すスタート」へ。 空き家の再生ではなく、「挑戦が生まれ続ける地域」をつくることが、私たちが創造した新しい価値です。そのノウハウや機運が周辺地域に広がり地域連鎖を生み出していきます。
どんな工夫をしましたか?
最大の工夫は、最初から空き家を再生しなかったことです。 まず地域の中に、小さく挑戦できる機会と、挑戦する人を応援する空気をつくる。そこから生まれた担い手と空き家を結び、事業化へつなげ、再生後も地域との関係が続くよう伴走する。 さらに、一つの成功を地域に見える形にすることで、それを見た次の人の挑戦につなげていきます。 つまり、「空き家を探して、直して、使う」という従来の一方向の発想ではなく、 「人が動く → 挑戦が生まれる → 空き家が動く → まちに変化が見える → 次の人が動く」 という循環そのものをデザインしました。 なお、具体的な担い手発掘、関係者の組成、事業化・資金計画、伴走方法などは、地域ごとの状況に合わせて設計しています。単純な手法の横展開ではなく、その地域に「連鎖が起こる条件」を一緒につくることを重視しています。