ボードゲーム『Synergy Quest』で地域課題を自分事に!ゲームから始まる若者の地域課題解決体験
自薦完全オリジナルの社会課題解決共創アイデア創出ボードゲーム『Synergy Quest』を地域の高校生・大学生に体験してもらい、社会課題を「自分とは遠いテーマ」から「自分も関わることのできるテーマ」へと変えるきっかけをつくっていることです。参加者は、若者の地域流出や高齢者の移動・買い物など、地域に実際に存在する課題をMISSIONとして受け取り、チームで対話しながら解決策を考えます。ゲームでは、情報、資金、協力者、アイテムなど限られた資源を集めるだけでなく、自分の「得意なこと・好きなこと」も課題解決の資源として活用します。そのため、社会課題について詳しい人だけでなく、どの参加者も自分なりの視点や強みを持って議論に参加できます。 実際に体験した高校生・大学生からは、「ゲームとして楽しいだけではなく、地域にまつわるクイズも出てきて地域を知ることができた」「ありえない組み合わせからいいアイデアを思いついた時がとても気持ちよかった」といった声が寄せられています。楽しさが入口となり、地域への関心とアイデア創出の手応えが同時に生まれていることが、この活動の特徴です。 私たちが大切にしているのは、ゲームの勝敗や、短時間で完成度の高い解決策を出すことではありません。地域を知り、他者の考えに触れ、自分の強みと社会との接点を見つけ、「自分にもできることがあるかもしれない」と感じてもらうことです。体験をきっかけに、学校での探究をさらに深めたり、別の社会課題について仲間と考えたり、自らのプロジェクト活動へ踏み出したりするための最初の一歩をつくることが、この活動の最大の魅力です。
どんな課題にアプローチしましたか?
私たちがアプローチしているのは、若者が社会課題を「知る・関心を持つ」段階から一歩進み、自分自身との接点を見つけ、仲間とともにアイデアを生み出し、自ら何かを始めてみようと思える状態へつなげることです。 私たちは以前、自治体の政策決定プロセスを疑似体験するボードゲームを開発し、多くの中高生・大学生に社会課題や政策を身近に感じてもらう機会を提供してきました。その活動を通じて、ゲームという手法が、難しく感じられがちな社会課題への心理的な距離を縮め、関心を高めるうえで有効であることを実感しました。一方で、その関心が「自分なら何ができるだろう」「仲間と何かやってみたい」といった次の行動や、自らのプロジェクト活動にまで発展するケースは必ずしも多くありませんでした。社会課題について知ることと、自分自身をその解決の担い手として捉えることの間には、もう一段の壁があると気づいたのです。 そこで、独自に開発した社会課題解決共創アイデア創出ボードゲーム、『Synergy Quest』を開発しました。『Synergy Quest』では、社会課題について学ぶだけでなく、自分の「得意なこと・好きなこと」を資源として持ち寄り、多様な主体や仲間の強みと組み合わせながら解決策をつくる体験を設計しました。体験者からは「別のテーマでやってみたい」「地域のことを知れた」といった声も寄せられています。これはまだプロジェクト化そのものを意味するものではありませんが、関心を一過性で終わらせず、「もっと知りたい、もう一度考えたい」という次の意欲につながる兆しだと捉えています。私たちが乗り越えたいのは、「関心はある。でも自分が何をすればよいか分からない」という壁です。自分の強みも社会を変える資源になると実感し、行動への一歩を踏み出せる機会を地域の中に増やすことを目指しています。
どのような新たな価値を創造しましたか?
この活動が創造している新たな価値は、地域の高校生・大学生に対して、社会課題について「学ぶ場」だけでなく、「自分と社会の接点を発見し、仲間とアイデアを生み出す場」を提供していることです。社会課題を扱う学習では、知識やデータを理解することが中心になりがちですが、それだけでは「自分はどう関われるのか」という実感にはつながりにくい場合があります。私たちの活動では、『Synergy Quest』を媒介として、地域課題を知ること、自分の得意や関心に気づくこと、他者の強みを知ること、異なる資源を組み合わせて解決策を考えることを、一続きの体験にしています。 ゲームの中では、誰かの得意なことが別の人のアイデアと結び付き、予想もしなかった提案へと発展します。参加者からは「最後のみんなのアイデアが、自分には無い突拍子もないアイデアで面白かった」「ありえない組み合わせからいいアイデアを思いついた時がとても気持ちよかった」といった感想が寄せられました。これは、個人で正解を探すのではなく、異なる視点や強みを掛け合わせる「共創」そのものを面白いと感じてもらえていることを示しています。また、「コミュニケーションのカードでチーム内で答えを合わせたり、思い出などを聞くことができて、他の方の知らない面を知ることができた」という声からは、アイデア創出だけでなく、自己理解・他者理解を深める場にもなっていることがうかがえます。 さらに、市民団体が講師として高校生・大学生と対話しながら場をつくることで、学校と地域社会の間にも新しい接点が生まれます。若者に完成した答えを教えるのではなく、社会課題を一緒に考える仲間として関わり、「もっと知りたい」「自分にも何かできそう」という小さな変化を生み出す。その変化が、将来の探究、地域活動、ボランティア、起業や自主プロジェクトなど、多様な社会参加につながる入口になることが、この活動が生み出す価値です。
どんな工夫をしましたか?
活動を展開するうえで最も工夫したのは、ゲームに夢中になる体験を通じて、社会課題の解決には「多様な主体と協働すること」と「自分自身の強みを活かすこと」の両方が重要だと自然に理解できるよう、ゲームのメカニクスそのものに学びを埋め込んだことです。『Synergy Quest』では、フィールドワーク、ブレイン、コミュニケーション、労働という4つの行動を選び、情報・熱意・資金・協力者・アイテムを獲得します。フィールドワーク先にはNPO、市役所、現場、先輩起業家など多様な主体を設定し、協力者を得るにはコミュニケーションが必要です。さらに、協力者は「熱意」、アイテムは「資金」がなければ活用できません。一人の力や一種類の資源だけでは課題を解決できず、異なる主体や資源をつなぐ必要がある構造にすることで、協働の意味をゲームの中で体感できるようにしました。 もう一つの核が、ゲーム途中の8ターン目に行われるイベント「Meet Up」です。参加者はゲーム開始時に「自分の得意なこと・好きなこと」をカードに書き、それを他者と交換・共有して課題解決に活かします。「コミュニケーションのカードでチーム内で答えを合わせたり、思い出などを聞くことができて、他の方の知らない面を知ることができた」という感想や、「ありえない組み合わせからいいアイデアを思いついた時がとても気持ちよかった」という声は、この仕掛けが自己理解・他者理解と「新結合」の楽しさにつながっていることを示しています。 さらに、地域・社会課題クイズ、生成AIによる情報探索、突発的な制約が起きるSudden Turn、最後のピッチと相互評価を組み合わせ、知る・対話する・選ぶ・協働する・組み合わせる・伝えるという一連の探究を体験できるようにしました。「最後のみんなのアイデアが自分には無い突拍子もないアイデアで面白かった」という感想にも表れているように、多様な人の視点を知ること自体が次の発想を生む仕掛けになっています。楽しさの中で「自分にも活かせる強みがある」「異なる人と組むことで一人では生まれないアイデアが生まれる」と気づけることが、活動設計上の大きな工夫です。