高校生リバースメンター
若者の声を「聞くだけ」で終わらせず、行政に反映し、社会を動かしている点です。参加した高校生からは「社会は変えられる」「地域に恩返ししたい」「社会を変える人であり続けたい」といった声が生まれ、「先輩が社会を変えたから私も挑戦したい」と応募する高校生も増えています。群馬県で始まったこの取組は福岡県古賀市や東京都品川区にも広がり、約70人の中高生が参加、30件以上の政策が実現しました。「高校生が社会を変える」ことが地域に受け継がれる文化になり始めています。
どんな課題にアプローチしましたか?
こども基本法の施行を受けて全国で「こどもの意見表明」が進む一方、多くは意見聴取にとどまり、政策実現までつながる事例は限られています。若者が「意見を聞く対象」に置かれたままで、社会をともにつくる主体として行政の意思決定に関与できていないことが課題です。また、特に若者の抱える課題は、大人だけでは気づきにくく、施策に反映されにくいという問題もあります。
どのような新たな価値を創造しましたか?
「こどもの意見表明」を「政策実現」まで発展させました。世代間の学びを逆転させる「リバースメンター」の仕組みにより、高校生が知事の相談役として政策を提言し、事業化や社会実装につなげています。これまでに30件以上の政策が実現し、高校入試の出席日数欄の廃止と「一人ひとり(Unique)の道(Path)」を意味する新たな呼称「ユニパス」の導入、LGBTQ当事者の提言を契機とした教員研修の実施、子宮頸がんワクチンの啓発動画制作や県内高校での普及啓発、生理用品の配布、商業施設での接種機会の創出などにつながりました。若者を「社会をともにつくる主体」と位置付ける、新しい自治体モデルとなっています。
どんな工夫をしましたか?
高校生自身が、自らの問題意識からテーマを設定する設計としました。行政が用意した論点に答えるのではなく、当事者としての課題設定から始められるようにしています。 提言づくりの過程では、担当課・専門家・現場のNPO・官僚・メディア・研究者などとの対話を重ねます。ワークショップを通じて「何が問題になっているのかを考える」「国内外の事例調査」「政策立案」「伝え方」を学び、実践的に社会課題と向き合う設計としました。思いつきの意見表明ではなく、対話と調査に裏打ちされた提言に磨き上げるための工夫です。 そのうえで「提言して終わり」にせず、提言の実現(政策化)までを目指します。高校生が知事に直接提言し、実際の施策や事業に反映される道筋をつくりました。自治体の枠を超える提案については、国への提言につなげることもあります。 参加者の構成にも工夫があります。高校生の視点に加え、不登校やLGBTQなど多様な当事者が参加することで、大人だけでは気づきにくい課題を政策に反映し、より実効性の高い施策の実現につなげています。 また「高校生リバースメンター」という名称には、「支援される存在」ではなく「社会を変える担い手」という意味を込め、多様な高校生が誇りを持って参加し、社会を動かす当事者となる経験を得られるようにしました。