地域の起業家を増やすローカルシフトアカデミー
「課題解決」ではなく「受講生のワクワク(内発的動機)」を出発点にビジネス構築を設計しているところ。地域課題を解決することそのものを目的にすると義務感で疲れてしまうが、自分の強みや興味から始めることで、無理なく1歩を踏み出すことを目指している。実際に、5期目(2026年度)を迎えるまでに、空き家活用や商品開発、地域おこし協力隊、祭りの担ぎ手など、卒業生が能登町で多様な形で根を張り続けており、「あなたのワクワクはきっと誰かの希望になる」というメッセージを共通ワードとして、一定の成果が積み上がっている。能登町の交付金により受講無料でありながら、対面フィールドワークと伴走支援がセットになっている点も参加のハードルを下げている。
どんな課題にアプローチしましたか?
都市部では、内閣府調査で東京圏在住20代の44.8%が地方移住に関心を持つ一方、「毎日なぜか疲れる」「生活に不満はないが手応えがない」「何のために働いているか分からない」といった閉塞感を抱える人が増えている。他方、日本のGDPの約6割を担う地域側では、少子高齢化・人口減少、担い手不足、空き家の増加、耕作放棄地の拡大が進む。ローカルシフトアカデミーは、この「都市の閉塞感」と「地域の担い手不足」という一見別々の課題を、能登町を舞台に結びつける架け橋として位置づけ、双方を同時に解決しようとしている。
どのような新たな価値を創造しましたか?
空き家・後継者不足・耕作放棄地といった地域課題を「誰かの役割」として捉え直し、飲食店経営や民泊、商品開発、観光ツアー、情報発信など、課題解決そのものをビジネスや活動に変換する仕組みをつくった。さらに、課題解決を目的化せず「自分のワクワクを起点にした自己実現の過程」と位置づけたことで、参加者が無理なく地域に関わり続けられる。実際に卒業生からは、移住×空き家活用、Uターン×独立、二拠点×耕作放棄地、地域おこし協力隊、祭りの担ぎ手など多様な事業・活動が生まれ、卒業後も東京・金沢・能登をつなぐ同窓会が続くなど、一過性で終わらない関係人口を創出している。
どんな工夫をしましたか?
一方的な講義ではなく、双方向の対話形式とオンラインでの1on1コーチングを組み合わせ、メンター(コーチ)が伴走しながら参加者の思いを言語化していく設計にした。事前にストレングスファインダーで自分の強みを可視化したうえで、2泊3日の能登町フィールドワークに臨み、知識や思考だけでなく五感を通じて「自分だからできること」に気づけるようにしている。講師陣にはブランディングや発信、事業計画づくりの実践者を招き、実践知を直接学べる機会を用意。さらに、4期生などの先輩が「バディ」として相談役を担い、専属のコミュニティマネージャーが日常のコミュニケーションを支える伴走体制を敷いている点も工夫の一つである。