島根県美郷町における主権者教育の実践~体験型ゲームを通じた段階的政治参画~
自薦議員との対話や多様な行政機関との連携・プログラムの開発を、第三者であるNPOが促したことで、既存の郷土愛教育を超えて、主権者教育を推進する文化をまちに構築した。 ・他地域へも横展開しやすいモデルの構築: プログラムに入れ込んだまちの特色や政策に関する情報を入れ替えるだけで、他の自治体にも横展開可能。 美郷町と同様に、人口流出や担い手不足に悩む他の中小自治体でも、再現可能なモデルとして設計した。 ・オリジナルボードゲーム『まちの議員になろう』の導入: 美郷町独自の課題を元に、ゲームを作成。 子どもたちが、より幸せなまちを作るにあたって、限られた財源で政策を選んだり、選挙を通じてまちの変化を体感したりすることで、行政・政治の仕組みや選挙の意義などを、リアルかつ楽しく学ぶ機会を提供した。 ・現職議員とのリアルな対話がもたらす循環: プログラムを通じて、議員と直接対話する機会を創出。 子どもたちの政治への心理的ハードルを下げるだけでなく、議員にとっても子どもたちの生の声を聴くことのできる仕組みを構築した。
どんな課題にアプローチしましたか?
・若者の流出: 町内に高校がないため、中学校卒業と同時に多くの若者世代が町外へ進学・転出し、地域との接点が途絶えてしまうこと。 ・将来的な地域の担い手不足: 過疎化に伴い、将来的にまちづくりや行政・政治に関わる若い世代が不足していること。 ・郷土愛学習の限界: 町内でも、地域への愛着を育むための学習は行われていたが、地域の現状を知る学習にとどまっており、今後も住み続けたい・関わり続けたいまちにしていこうとする視点は不足していた。
どのような新たな価値を創造しましたか?
・「投票」から「担い手」へつなぐ、2ヵ年ステップアップ設計: 1年目に「模擬投票(有権者視点)」、2年目に「議員体験(担い手視点)」と段階を踏ませるカリキュラムを構築した。 政治を単に「選ぶもの」ではなく「自ら参画して創るもの」へと多角的に捉え直させる設計になっている。 ・リアルな町政を体験できる独自ボードゲーム『まちの議員になろう』の開発: 抽象的な知識伝達ではなく、美郷町の実際の課題を組み込んで、政治・行政の仕組みや、より良いまちづくりを学ぶことができるオリジナル教材を開発した。 ・多様な行政機関との連携: 教育委員会・議会事務局・選挙管理委員会との協働で事業を実施した。 上記を通じて、実際の道具を使用したり、議員との交流を可能にし、子ども達に対してよりリアルな学びを届けることができた。 また、行政の中で関係者を増やすことで、主権者教育に対する理解を町内に広げた。 ・約7割の議員が参加: 全議員に声をかけ、都合がついた12人中8人の議員が参加した。 議員との対話や遊びを通じて、子どもにとっては政治への心理的ハードルが下がる機会となった。 また、議員にとっても、プログラムへの参加を通じて、子どもたちに直接ヒアリングや対話ができる機会を提供した。 プログラムへの参加を通じ、議員が主権者教育の価値を感じる機会となり、今後のまちへの主権者教育推進の一助となった。
どんな工夫をしましたか?
政治や行政に、選ぶ側として関わるだけでなく、担い手として関わる視点を育むことで、深い当事者意識を養った。 【初年度】議員を身近に感じることと、選挙によって何かが変わるという経験を積んだ。 ・コンテンツ①議場見学と議会クイズ 議場に入り、実際の政治が運営される場所で議会への理解を深めた。 ・コンテンツ②議員との交流 議員のパーソナリティを知るような質問をしたり、まちに関する困りごとを議員に直接伝えたりすることで、議員を身近に感じられるようにした。 ・コンテンツ③模擬選挙 「みんなでやりたい遊び」をテーマに模擬選挙を実施。選挙管理委員会協力のもと、実際の投票箱や記載台を使って、選挙の体験をした。 模擬選挙で選ばれた遊びは、議員も参加して実施された。 ------------------------------------------------------------------------------------------- 【2年目】ゲームを通して、まちの担い手としての経験を積んだ。 ・コンテンツ①まちの税金を使った施設の利用 まちの税金を使った施設を会場として利用。税金や、まちの現状についての理解を深めるクイズを実施した。 ・コンテンツ②ボードゲームを通じた議員体験 お金カードを使って政策を実現し、それによって得られる住民の満足度を、しあわせポイントとして表現。しあわせポイントが多かった人が勝ちになる。 途中で町長選挙が発生し、その結果によって、その後のゲームルールを変える要素を入れた。 これにより、選挙を通じてまちの運営が変化することを体感した。 ・コンテンツ③実際の担い手である議員との対話 ゲームを通じて担い手としての視点を学んだ後に、実際の議員と交流することで、より関心を持って議員と対話することができた。