自薦
長崎女子短期大学 生活創造学科 地域未来創生コース「イベントプランニング」受講生8名および担当教員1名(MVN Thanks Projectメンバー)
MVN Thanks Project| 2026年8月25日
#主権者教育#大学生#実践#対話#若者

課題探し(PBL)から、感謝探し(TBL)へ

自薦
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イチオシポイント

 TBLは、シンプルであること、誰しもできることが、イチオシポイントです。高校生や大学生に、教育の中で地域の課題解決をさせようとする活動が広がっているように感じます。大人でさえも難しいことを子どもや若者にやらせることも大切でしょうが、子どもや若者に、まず、TBLを体験させていいのではと思うのです。シンプルで誰しもできるアクションであるTBLの効果は、少人数ながら私の授業では予想よりもデモクラシーの土台づくりに寄与しました。  感謝を探すプロセスの中で、学生には「長崎県にこんな素敵な人がいるんだ」という気づきがありました。日本人は「ありがとう」をあまり言葉にしない国民性を持つと言われることがありますが、感謝を探し表現することで、学生たちに変化が生まれました。その変化は、自分もこのまちに何かできるかもしれないという意識の変化です。数値に表れた意識変化を見て、短大の中の授業という、小さなステップではありますが、学生と共に歩む者として、勇気をもらいました。トライ&エラーを続け、効果の検証を続けていく必要はまだまだありますが、まちと若者をつなぐアクションをひとつひとつ積み上げていきたいと思っています。

どんな課題にアプローチしましたか?

 “最下位”脱出にアプローチ中です。日本財団が実施した『18歳意識調査』(2024)の中で「自分の行動で、国や社会を変えられると思う」と答えた17~19歳の割合は、6ヵ国(日本、米国、英国、中国、韓国、インド)中、最下位でした。この日本の若者の特徴を踏まえ、若者の意識を“まち”へ向ける取組みを行いました。自分の行動が社会に接続しないと思っている若者が多い現状を踏まえ、「まちづくりっておもしろそう」という若者をいかに増やすことができるかが、デモクラシーが進化していく上で重要と考えています。  高校でも大学でも、昨今の教育は、地域課題の解決にアプローチすることが重視され、地域の課題を探すことを入口にすることが多いように感じます。この入口は、地域への当事者意識が薄い生徒や学生にとって、課題というネガティブな面ばかりに注視してしまうリスクをはらんでいます。そのため、学びの入口そのものを変えようと考えました。まちのネガティブを探す前に、まちのポジティブを探すことを意識的に実行するという取組みです。

どのような新たな価値を創造しましたか?

 感謝探しには、若者の意識を“まち”へ向ける価値があることを発見しました。PBL(課題解決型学習)の一文字を変え、TBL(感謝起点型学習)を提唱します。Project / Problem Based Learning(通称PBL)は、文部科学省がアクティブ・ラーニングの一つとして推奨しています。私はこのPBLのPをTに変え、Thanks Based Learning(TBL)に取り組んでいます。課題探しではなく、感謝探しを起点とした学習です。  感謝を探すために活用したのが、地域の新聞(長崎新聞)と長崎県が発行している広報誌です。両者を1年分、学生と読み込み、Z世代である学生が最も感謝を伝えたい長崎人(MVN: Most Valuable Nagasakin)を選出しました。MVNを選ぶ基準自体も学生同士で話し合い、その上で、学生が10名程度のMVN候補を見つけ、プレゼンテーションを行った後に、話し合いを重ね、MVNを決定しました。  感謝探しは、探しただけで終わらず、感謝を表現するまでをセットにしました。どうすればMVNに喜んでもらえるかを学生が考え、話し合い、Thank U Dayというイベントを考えました。MVNに感謝のメッセージを届け表彰するイベントです。  受講者全員(8名)を対象に、「4月の初回授業を受けた時点のあなた」と「今のあなた」を5段階(1〜5点)で比較するアンケートを実施したところ、「自分にも、長崎県をより良くするためにできることがあると思う」が平均3.12点から4.00点へ大きく上昇しました。「私は長崎県に愛着を感じている」が平均4.12点から4.38点へと上昇が見られました。一方、「私は幸せだと思う」は3.62点のまま変化がありませんでした。なお、受講者数は少ないものの、TBLが、自分の目の前にある“まち”に対して、ポジティブな目を向けるきっかけになっていることがうかがえ、今後もデモクラシーの土台づくりの試行錯誤を続けて行こうと考えています。

どんな工夫をしましたか?

・感謝探しが、安易な思いつきに影響されないよう、地域の新聞(長崎新聞)と長崎県の広報誌を1年分読み込んだ上で、MVN候補を選出しました。MVN候補のことを深く調べるためにインターネットの活用もしましたが、新聞と広報誌の読み込み“後”にインターネットを活用したという順序が、工夫です。 ・MVNを選ぶ基準そのものを、教員が与えず学生同士の話し合いで決めさせました。学生が10名程度のMVN候補を見つけ、プレゼンテーションと話し合いを重ねて1人に絞り込むという、意見の違いを調整するプロセスを経ています。 ・「感謝を探す」で終わらせず、「感謝を表現する」までを一つのプロジェクトとして設計しました。どうすればMVNに喜んでもらえるかを学生自身が考え、Thank U Dayというイベント(対面で感謝メッセージを伝え、感謝動画を上映し、表彰状を渡し、対談をする)の内容を話し合って決定しました。 ・当初は受賞者と対面で実施する予定でしたが、先方の日程都合により、予定していた日には実現できませんでした。学生はここで諦めず、感謝動画と表彰状を郵送でお届けするという次善の策に切り替え、形を変えてでも感謝を届けきるという判断を自ら行いました。 ・受講者全員を対象に、幸福感・感謝・地域愛着・自己効力感を5段階で問うアンケートを授業前後で実施し、変化を可視化しました。

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