総評
主要政党および新興政党のマニフェストを横断的に評価して明らかになった最大の共通点は、日本社会が直面している構造的変化に対し、中長期的な視点からの将来像が十分に示されていないことである。人口減少、少子高齢化、財政制約、地域間格差、国際秩序の不安定化といった前提条件を共有したうえで、10年後、20年後の日本をどのような社会として設計するのかを明確に描いている政党は多くない。
多くのマニフェストは、物価高対策や減税、給付、子育て支援など、当面の生活課題への対応には一定の具体性を示している。しかし、それらがどのような社会像に収れんしていくのか、政策同士がどのような優先順位と工程で実行されるのかについては整理が不十分であり、結果として政策集の域を出ていないものも見受けられた。民主主義の基盤としての熟議と説明責任を、文字と数字で示すという意味でマニフェストの役割を果たしていない。
また、策定過程や前回マニフェストからの変更点、実行後の検証方法といったプロセスへの言及は総じて弱く、マニフェストが「国民との契約」として位置付けられているとは言い難い。民主主義の成熟には、何を実現するかだけでなく、どのように決め、どのように検証するかを示す責任が不可欠である。
マニフェストは単なる選挙向けパンフレットではなく、国家の進路を国民と共有するための契約である。各政党には、短期的な支持獲得を超え、日本の将来像を明確に描き、その実現への道筋を示すマニフェストへと、さらなるアップデートを強く期待したい。
ビジョン
日本の将来像(あるべき姿)が示されている
どのような社会になっているかという前提が示されている
実現可能性
優先順位が明確になっている
目標・期限・実現方法(工程)・財源・実行体制が明示されており事後検証が可能
共創
縦割りを打破できている
政策間の連携、自治体、民間との共創が示されている
エビデンス
根拠となるデータが示されている
政策実行による成果指標が示されている
プロセス
マニフェストの策定過程に熟議の工夫がされている
マニフェストの浸透過程で熟議の工夫がされている
前回マニフェストからの継続・変更点の説明責任を果たしているか
早稲田大学デモクラシー創造研究所が担当している崇城大学(熊本市)情報学部(未来情報コース)の講義「異分野イノベーション早稲田コース」の学生たちによる企画発表。「学生100人に聞いてみた」動画企画を順次掲載します。
coming soon…
監修・制作:早稲田大学デモクラシー創造研究所
協力:一般社団法人Maniken