デジタル技術の急速な発展が民主主義のあり方を大きく変えるいま、求められているのは、テクノロジーを単なる効率化の手段にとどめず、公共性を高め、信頼に基づく民主主義(デモクラシー)の創造に役立てることです。
早稲田大学デモクラシー創造研究所(IDI)は、「対話を通じて対立を乗り越え、誰もが納得できる上質なプロセスを創造する」という理念を掲げ、2025年4月に発足しました。そしてこの度、設立後初めてとなる年次シンポジウムを開催します。
当研究所の日野愛郎所長(早稲田大学教授)と、マニフェスト型選挙を提唱した北川正恭元三重県知事(早稲田大学名誉教授)の対談セッション「"マニフェスト"のゆくえ」をはじめ、「投票×テクノロジー」「若者×熟議×テクノロジー」「人材育成×地域経営×テクノロジー」をテーマに、議論を深めます。
2025年4月に設立した「早稲田大学デモクラシー創造研究所」。研究所として初めて開催するシンポジウムで、その使命を所長の日野愛郎からオープニングトークとしてお伝えします。
研究員の山本鉄平教授(取締役CSO)などが設立した早稲田大学発のベンチャー「VETA」が監修した「コンジョイント分析」手法を用いた新たなボートマッチの仕組みは、2025年参議院選挙で実装され(日経新聞)注目を集めました。ユーザーの単純な政策の好き嫌いでなく、選好の重みを統計的に推定することで「自分は何を本当に優先しているのか?」という潜在意識を可視化することも可能にしました。ボートマッチの現在地点を確認し「これから」を展望します。
選挙のあり方を口約束のお願いから、文字と数字で検証可能な約束へと転換する「マニフェスト」の登場から20年。 不確実性の高いVUCA時代にマニフェストはどこへ向かうのか? マニフェスト提唱者の北川正恭氏と、比較政治学を専門としマニフェストの計量分析や国際比較等を実証的に研究している日野愛郎所長との対話を通じてマニフェストのゆくえを考えます。
AI・デジタル技術の革新によって様々な情報や価値観に日々個人が接する時代になり、Z世代の価値観も組織中心から個人中心へと変化してきています。そのような中で、どのように若者の意見を集約し、政策に反映していくのか。 デモクラシー創造研究所で行った高校生1000名への価値観変容に関する調査結果をもとに、Z世代の価値観変容を研究する未来政経研究所の島田氏とデジタル合意形成プラットフォームを開発し、自治体と協働して若者の意見を政策に反映する取り組みなどを行なっているLiquitousの栗本氏を中心に、Z世代の価値観の変容と新たな意見集約のあり方を題材にパネルトークを行います。
機関委任事務を全廃し、国と地方の関係を「上下主従」から「対等協力」に位置付けた地方分権一括法の施行から25年。少子高齢化により地方のリソースに限りがある中で、持続可能な地域経営を行うためにはデジタル技術の活用・デジタル技術活用を下支えする人材育成が不可欠となっている。 そこで、首長として持続可能な地域経営のための行政改革を主導する入間市長の杉島氏と地方女性のキャリアをITスキルで支援するSurpassの石原氏とのパネルトークを通じて、地域経営の質を高め、住民参画を促進する新しい民主主義のあり方を探ります。
シンポジウム終了後、「第二部」として参加者同士がゆるやかにつながるアフターパーティ懇親会を開催します。 地域や所属をこえて、日頃の実践、これからの構想などを共有する「参加者相互の交流の場」に是非ご参加ください。
※2月4日以降のキャンセルは、キャンセル料(100%)を申し受けます。
※第二部のみ参加はできません。